行ったぜ西安&上海(2) 2017/05/03 デカすぎるぜ兵馬俑
5/3(水)
翌日も西安は雨だった。「もうちょっとしたら、雨止んでくれたりしねえかな……」などと淡い期待を持ちつつ、部屋でぐだぐだしたり、ユースホステルのすぐそばにあるコンビニに朝メシを買いに行ったりして9時ぐらいまで待ってはみたが、いっこうに雨は止む気配がない。
「まあ、兵馬俑ならどうせ屋根の下だし。そろそろ出るか!」ということで、今日は西安観光の目玉、世界遺産の兵馬俑を見に行くことに。
西安市内から兵馬俑までは、バスで1時間ほど。兵馬俑行きのバスは、西安駅前のバスターミナルから出ているという。
俺が泊まっている古城青年旅舎から西安駅に行くには、ユースのすぐそばにある「北大街」駅から地下鉄に乗って「五路口」駅まで行き、そこから5分ほど歩けばいい。というわけで、北大街から地下鉄に乗る。自販機の使い方は上海と同じだ。路線を選び、駅を選んで、料金ボタンを押してお金を投入。というわけであっさり切符を買えた。ぐふふふ、どんなもんだ。
ちなみに中国の地下鉄は乗る前に手荷物検査があり、X線検査を通さなければならない。これが微妙にめんどくさい。
……なんてなことを言っているうちに五路口駅に着いた。地下鉄を出て、雨の中を西安駅に向かって歩く。西安駅はすぐそこに……あるはずなんだが、なかなか着かない。
「でも、きっとたぶん絶対方角は合ってるはずだしなあ……」などと思いつつずんずん歩く。青信号でも突っ込んでくるバイクを避けつつ、いくつもの十字路を通り抜けて……たどりついたのは、なぜか西安市中心部を囲む城壁の一角。「ああ……これはアレだ。道を間違えたんだ」とようやく気づき、地図を確認しつつ五路口の交差点まで引き返す。……雨の中、なにやってんだ俺は。
交差点に戻り、今度はちゃんと方角を確認して歩いていくと、5分ほどであっさり西安駅に着いた。
駅の手前で右に折れてちょっと行くと、何台ものバスが停車しているターミナルがある。ここが、兵馬俑行き路線バスの出発点だ。
ターミナルのはじっこには「西安駅⇔兵馬俑」と、でかでかと書かれた青いバスが停まっていた。これが兵馬俑行きの路線バスだな、ってんで近づいていく。するとバスの乗車口の前に立っていたお兄ちゃんが「ピンマーヨン(=兵馬俑)?」と聞いてくる。どうやらこのバスで間違いなさそうなので「ピンマーヨン!」と無駄に爽やかな笑顔で答えてバスに乗り込み、兵馬俑に向けていざ出発。
バスはところどころの停留所でお客さんを拾い、もうひとつの有名観光地である「華清池」を経由しつつ兵馬俑へと向かう。ちなみに料金は8元か9元だった気がする(このへん、早くも記憶があいまい)。
天気が良ければ早めに出かけて華清池に寄ってもよかったんだが、雨がひどいので今回はパス。というわけで終点までそのまま行って、バスを降りると目の前が「秦始皇兵馬俑博物館」だ。「博物館」とはいってもひとつの建物というわけじゃなく、だだっ広い公園のようなところ。園内にあるいくつかの大きな建物の中に、兵馬俑が発掘された状態そのままで展示されているわけだ。入場料150元を払って中に入る。
広い敷地をてくてく歩いて最初に入ったのは「文物陳列庁」。ここの目玉は始皇帝の馬車を1/2スケールで再現したといわれる青銅製の馬車だ。
中は暗かったので、馬車の写真は撮り損ねてしまった。なのでとりあえず、兵馬俑と一緒に出土したと言う矢の写真など載せてみる。青銅製の馬車は1/2という大スケールだけに、かなり精巧な作りだった。原型師すげえ(←フィギュアじゃないっての)。
そこを出たら、いよいよ本命の兵馬俑坑の見学に行くわけだが……まずは、文物庁の目の前にある二号坑。
はい、ご覧のとおり、ここにはあまり兵馬俑が並んでません。長い年月で壊れてしまい、原型をとどめていないものも多い。つまり、言っちゃなんだがここはまだまだ前座ってこと。ただしここでは、兵馬俑の中でも特徴的な形をしたものをガラスケースに収めて展示している。つまり兵馬俑単体を一番間近に見られるのがここ、というわけだ。
ここでじっくり、秦の時代の兵士をリアルに再現した兵馬俑のディテール、1/1サイズというスケール感を頭に叩き込んでから、三号坑へと移動する。
こちらが三号坑。ここはいわば兵馬俑の「司令部ユニット」らしい。二号坑よりも小さいが、整然と兵馬俑が並んでおり、大きな馬俑もいたりして、「おっ……!」という見どころ感は俄然アップしている。
しかし多くの人が「兵馬俑」と言われて思い出すのは、やはりここじゃないだろうか。
そう! 広大な地下の空間に、大量の兵馬俑がずらりと並んでいるこれ! 秦帝国驚異のメカニズム! これが兵馬俑観光のメイン! これこそが世界遺産のインパクト!
これがッ! これがッ! これが一号坑だッッッッ!(ドッギャーン!)
……って、「なにを一人で興奮してるんだ」という感じではあるが、いや、ここ、実際に行ってみるとマジですごいんですって。巨大な体育館か倉庫みたいな建物に入ってみると、入口のすぐ前に黒山の人だかりができててですね。それをかき分けて進んでみると……
大量の!
焼き物で作られた等身大の兵士像が!
ずらっと並んでるわけですよ! 見わたす限りずっと向こうまで!
これはねえ……相当なインパクトですよ。入場料150元(日本円で2550円ぐらい?)って、今回の旅行ではかなりお高めな部類の出費だけど、それだけの価値は楽勝であるってもんですよ。
てなわけで、一号坑の周囲をぐるりと取り巻く見学コースを、ひたすら「すげえ」「でけえ」などとつぶやきながら歩き回り、シャッターを切りまくる。
なお、こちらは修復待ちの兵馬俑の皆さんと修復作業場。
てなわけで兵馬俑のデカさというかスケール感にすっかり圧倒され「ほへ~……」となりながらフラフラと展示館の外に出た時には、すっかり雨も上がっていた。
時刻は昼過ぎ。「兵馬俑が発掘されるまで」みたいな短編映画を上映している建物の売店で、西安名物「ロージャーモー」(西安風の硬いパンに、柔らかく煮込んだ肉を挟んだハンバーガーみたいな料理)など買って一息入れたら、今度は「始皇帝陵」を目指す。「兵馬俑博物館」を出て、ファーストフード店や食堂のずらりと立ち並んだ通りを歩いて……
こちらの始皇帝像のあたりまで行くと、そこから始皇帝陵まで無料バスが出ている。というか始皇帝陵の入場料と、バスの料金は兵馬俑の入場料に含まれているらしい。まあ、とにかくバスに乗ると5分ほどで始皇帝陵=麗山園に到着だ。
ここに始皇帝陵=始皇帝のお墓があるわけだが、中はかなり広い公園。
で、公園の真ん中あたりに「この後ろに見える丘が始皇帝陵です!」という感じで目印が立っているんだが……天気が悪くて、始皇帝陵あんまり見えない。
まあ天候が相手じゃ仕方ない。いったん止んだ雨もまた微妙にパラつき始めたことだし、ちょっと早めに西安市内に引き上げることにする。
帰りは、西安駅行きの路線バスが始皇帝陵の出口から出ていた。行きよりも停車するバス停が少なく、料金もなぜかちょっと安くて7元だった。